2015年5月3日日曜日

京都路傍観察 ひじき好きですか

 


上 ひじき煮はひじき、油揚げと人参。わび、さびです
 
下 南禅寺横のインクライン(傾斜鉄道)の右・カメ釘、左・犬釘のレール止めはこれぞ「ブラタモリ」ゆずりの鉄路観察。




                     ひじき好きですか!

 

4

この時期、京都は文化財の特別公開でにぎわっていた。まずは今出川通りの東西ラインに注目。足利系の息がかかった名跡である同志社大学奥の相国寺は一番乗りだった。案内のお坊さんの話では相国寺は「しょうこくじ」であり「そうこくじ」とは言わない。助ける意味の相は首相を連想させる。首長は戦争をして民を滅ぼすのではなく民を助ける人をいう。法堂の蟠龍図を見る。その天井図の鳴き龍の開眼が、こちらが四方を巡るのを楽しそうに追跡してくる。龍は民を助ける。その錯覚を利用した狩野派の画法は見事というほかない。

5

市バスを降り銀閣寺通りに入って早めに昼食をとることにした。のれんに惹かれた店は飾らない昭和の定食屋さんだった。店内の前面に献立料理がはいった今どき珍しいガラス棚が鎮座していて、観光客風は僕ら二人だけだった。品書きのうどん、そば各380円は安すぎ。トリの南蛮定食を注文したら6品のなかにひじきのうつわがでてきた。ひじきは僕の大好物だが今朝のひじき煮と味比べをした。冷たく味が薄い具が二種のひじき煮に比べこちらは温かく甘みがあり三種入っていてうまい。僕のひじき煮は甘くしすぎて6種は入っているが、これでは老人の太り自慢の煮物になってしまう。そんな料理のイロハを教えてくれた「定食の大銀」だった。

 
 6

京都のわび、さびを代表する銀閣寺はやはり足利以降も東山文化の華だった。特別展は本物の襖絵三品。江戸の与謝蕪村、池大雅、近代・奥田元宋の作品だ。倉庫からカラッとしたこの季節、俗世界にお出ましの信じられない出来栄え。「こんなに鮮やかな線」「陰影が褪せていない」。僕は膝を立て柱につかまり目をこらして見ていたら、二人目の案内おばさんが後ろからヒョイと現れて、オッと柱も文化財なんですよ、と僕をにらみつけた。

「哲学の道」は銀閣寺を起点に疎水を巡る。足と膝が痛くなってきたが、つれあいが盛んにこの道を歩きたがったのはなぜだろうと考えたら、それが哲学の道なのだよ。

 

0 件のコメント: