紅葉はこの週末が見頃、気分は充実!のはずだったがそうではなかった。
山梨の西沢渓谷には二,三度来たことがあるがかすかに思い出す情景はまったく一致しない。
こんな林道で、こんな太い沢で、こんな人たちで、といった違和感は何でなのかわからない。
「道が違うのでは」「もっと沢に入っていたような?」とつれあいにいわれると僕の記憶はまんざ
ら嘘ではなさそうだ。
一番の違いはうん十年前の西沢渓谷は林道の奥に駐車場がいくつかあって、歩くとすぐにちょっと
した沢のぼりができて、賑わいを避けた僕たちは少し道を戻って山裾の温泉につかったのでは?と
か。人もこの日のようなハイカーは少なく、それこそ観光客が群がっていたような。・・・それ
が違っていた。
二つ目はあまりに山が荒れていた。台風や風水害が暦年、ボヂイーブローのようにきいて、
山裾がえぐられ落葉広葉樹のやせ細った姿が痛々しい。そうであればの鮮やかな紅葉となるとも
う、季節は冬だ、と納得するしかない。
こんなとこだったっけ、なんて過っての記憶を断片的に思い出し、それを上回る情景が目の前で鮮
やかに展開すると不思議な感覚に包まれたままで記憶が次に蓄積されていく。人の記憶は記録がな
いと、いいかげんとあきらめてしまうしかないのだろうか。