2009年4月26日日曜日

18きっぷ1~2






「青春18きっぷ」のすすめ 1


うき がく



 ~小田原<東海道本線>~大垣<東海道本線・山陽本線>~米原<山陽本線>~岡山(泊)~<伯備線>岸本~<伯備線・山陰本線>鳥取(泊)~<山陰本線>京都―新幹線(帰宅)  山陰本線、園部から快速で京都駅に着いた。日曜の嵐山方面からの帰りの花見客の便と重なり大変な人ごみ。この旅の桜めぐりは正解だったが、ゆっくりとした旅とは対照的なハイタッチな送迎に戸惑いを感じた。ホームに下り改札に向う途中で、元アリスの谷村新一のポスターになにげなく目が射った。「Club Discover West」。Discover Japanを思い起こし、この三日間の各駅停車の旅が日本の僕の旅型なんだ、と一人合点した。  旅行中の会話は今回はないに等しい。桜前線を南下、目と耳でその時候の空気を感じとった。  




 東海道本線、興津駅から米原行きに乗り換え山側の席に座っていると、還暦旅行のような同年代の夫婦づれが近くに座った。二人はよくしゃべる。うとうとしていると藤枝を過ぎ六合(ろくごう)駅。車掌が出発を告げると奥さんと思しき人が「小田急線にも六合っていう駅があったわよね」といった。私は、それは六会(むつあい)駅でしょう。六合は群馬の六合村と同じ読み方だ、と思い同時にこの人達は同じ神奈川県人じゃないか、と各駅停車の旅を楽しむ同士に会った安堵感楽しんだ。



 静岡の各駅は政令指定都市の浜松、静岡や新幹線が止まる三島を除くと駅舎はローカル駅並みの落ち着いた造りなのに驚く。これが太平洋ベルト地帯の輸出花形産業のメッカなのかよ、と思った。  舞阪あたりだったと思う。その間の沿線に咲く桜の満開飾に慣れきった中で、その駅の車窓から見える上りホームには桜吹雪が舞い散る佇まいがあった。窓から線路越しにホームを見ると、次々に黒っぽい服を着た若い人たちがホーム下の階段から上がってくる。男女ともに同じような持ち物と服装から入社式の帰りだな、と推察した。ひとりの若い女性が上がり口から10㍍程行ったところで携帯電話を取出し、盛んにメール操作にかかった。するとちょっと遅れて上がってきた同じ年代の女性が、携帯の女性を通り越して、思いついたように振り返った。とたんにその女性は飛び掛るように携帯の女性に抱きついた。あわてた携帯の女性も周りを気にしながらもその女性の両袖をつかみ両人ともに飛び跳ねた。よっぽどうれしかったんだろう、こんな時しか出来ない、という風に。こんな時に会えるなんて、という風に。せっかく就活し、採用されても入社できない新自由主義の末路に巻き込まれる新人の悪夢があるというのに。気持ちのいい時間と場面と若い人に出会った。