2011年8月28日日曜日

わたしの世界の七不思議 1

12月3日 ワン218㌦ 宿泊7.5トルコリラ
12月4日 ドウバヤズット 宿泊15トルコリラ

(記憶遥か)
ドウバヤズットにて。
旅の途中に地図を眺めるのは出立の時、一人で「さて、どこへ行こうか!?」と不確かな行先の答えを見つけるためにあった。逆に大勢で眺める地図は「そこだ、そこだ」「あそこがいい!」などと明快で、自信に満ちた旅人に返り咲く好機でもあった。5000㍍を越えるアララット山を宿の二階から見上げながら私はトルコ現地の二人のおじさんに「ASIA」地図をひろげぶつぶつと講釈をした。

「ご存知のことと思いますが、トルコには汎トルコの歴史があります。トルコのルーツはシベリア南方ともいわれ、西に移動しながらトルコの祖先は次々と土地に根を生やしながらこのトルコの地でさらなる覇権を夢見ました。東ヨーロッパからドイツへと多大な影響をトルコはもたらしました」

わたしは(中央アジアのトルコ系民族が身近な親戚ですよ)と気持ちの中ではトルコの現勢力に抑えておけばよかったが、地図を開くとついおおらかに口をすべらしてしまったのだった。スイスのKummerly &Frey社の地図を何冊か持参したが、なるほど使いやすかった。おじさんたちはASIA地図に見入り、唾を吐きながら身近な親戚のトルコ系民族に関心をよせ、大トルコの歴史にさらなる誇りをかんじているいるようだった。

その時のもう一つの私の関心は雪をかぶったアララット山にあった。(トルコもいいけど、あの山に旧約聖書にしるされたノアの方舟が発見されたんだ!)と世界の不思議に感心していた。

わたしの世界の七不思議は見た驚きにとどまっていた。つい昨日、ディアルバキルからバスで凍てついたワンに夜中に着き、体を丸くしながらひさしぶりに眠れない一夜を旅人宿で過ごした。朝、バス停の小屋に座ってドウバヤズット行の便を待っていた。すると、中学生ぐらいの背丈の少年が私の前で立ち止まり物乞いのように手を差し出した。

目の前の子は異常に顔が広く鼻元から尾根筋道を二つに広げ、要するに鼻孔が四つあり、必然的に両目が左右に離れていた。あ然と彼を見つめていたら、もう一人の子が彼の袖をひっぱり立ち去って往った。

チュニジアのチュニスでは思わず声を上げ周りをみわたした。そのゆるやかな街角の時間、カフェで老人たちがコーヒーを飲みながらおしゃべりをしていた。その中の体の大きな老人の横顔にひかれた。見ると手塚治虫の鉄腕アトムにでてくる「お茶の水博士」とも、火の鳥の「我王」のように太っていて、大きな鼻が蜂にさされてぶつぶつにはれあがったあのキャラクターが目の前にいたのだ。