2016年7月25日月曜日

ヒュッテ・ツワイザアムカイトの快と怪                         トライアスロン大会を応援したけれど


トライアスロン大会を応援したけれど

 


湖畔のレストラン”ランバージャック”前にて






中央大学セミナーハウス近くの周遊道路にて





陸の周回コースに聞こえる集団の機械音は心地よかった。雨後の余韻が幸いして、少し高めのシャー、シャーという車輪に巻きつくしずく音が競技ムードを高めてくれる。


自転車、バイク、ここではロードレーサーと呼称する細身のタイヤに大きな体を預けたオッサン、オバサンは平均40歳以上。そのキラキラと輝く赤、黄、青のサイケデリックな車体に不釣り合いな大きな姿態。デビルマンのような肩甲骨の盛り上がり、筋肉モリモリの逆三角形が迫ってくる。


だが、よく見るとお尻を乗せるサドルとハンドルの高さが直線で結ぶのが普通だが、こうしたオジサンのサドルはかなり高く調整され二階から見下ろすような、しゃがんで見物する観客には迫力満点で怖いくらい。その逆に、並走した車体の間にオジサン、オバサンが必至こいてペダルをこぐ。骨川筋夫、筋子のようなやせすぎの人達は、体脂肪を絞りすぎて完走できるのだろうかと思わせる。そんな競技者の幅がこの競技のおもしろいところだ。

周回が二周くらいになってくると、競技者の表情も多彩だ。見知った審判員に「雨が止んでよかったね!」などと余裕の時の声を挙げるにこやかな常連組が軽やかに通り過ぎる。沿道の黄色い声も元気いっぱいで、わたしも「がんばれっ!」と声掛けすると「はいっ!」と競技者の女性が応えてくれるのでこちらがビックリ。次の周回も以下同文なのが不思議だ。もちろん落ち込んだ声で「はい・・」と、力なく疲れた人がいる。

最周回の鐘が鳴ると沿道の熱気も過熱する。さっそうと駆け抜ける技はなかなかで、多くは苦痛と破顔が一体になって、ひどく疲れた競技者の時速は10キロ強に落ち込んしまう。そうしたオジサンが通り過ぎると、レストランの空車スペースに陣取った地元の家族たちはお祭りの酔いが回ったようにひときわ声を枯らす。車間が開いて間延びしたのを逆手にとって「こぐんだよ、こげよッ!」と大声で気勢を挙げる。

そんなこんなの時間。僕は予備の車輪、ホイールをキープする沿道のスペースに立った。大会のボランティアに手を挙げた手前、「がんばれっ!」なんて応援者になってしまって、いいのだろうか?