2013年3月27日水曜日

イギリス婦人のヒマラヤ




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(記憶遥か)

Taramarangに到着した時、初老のヨーロッパ系の婦人とまだ10代の若いシェルパが休息していた。婦人ははきはきとした英語をしゃべり、シェルパは寡黙に応えていた。

ヘランブトレックの最終の帰路は午後の陽をあびた土手道の時間。空を仰ぎながら歩くトレッカーの一挙手一投足に魅かれ、ポーターのシェルパの若者と同じように、わたしは歩くペースを等間隔に合わせてしまった。

 イギリス婦人はウエストを絞ったブルーの柄物ワンピースを着て、カメラひとつをぶら下げていた。杖を突き、ズックを大地に乗せるようにとぼとぼと歩き、一定のリズムで後ろを振り返る。そして前を見上げ、自然を楽しむように歩いていた。

 イギリス婦人は何か思いを探すように、若い日の思い出のヘランブトレックをみつけようとしているようだった。旦那さんとの若き二人の青春を確かめるように、自分の時間を楽しんでいるようでもある。

 わたしががそばにいって声をかけるときれいなブリティッシュでこたえるかもしれない。いや、土手道の草花に目を移し、通り過ぎる人など気にもかけないだろう。ただ、彼女は輝く雪山のヘランブを忘れないように立ち止まりそしてまた、振り返る。

 

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