2011年2月5日土曜日

アテネはしんしんと雪の中


11月6日 イタリア ローマ
30㌦両替 530㌦

11月7日 ブリンディシ
20㌦両替 510㌦

11月8日 ギリシャ パトラス
20㌦両替 490㌦


(記憶遥か)

パトラスの街灯の灯りが印象に残る波止場に近いバス停からアテネに乗り込む。もう、アラブの喧騒とはしばらくおさらばと感じるだけ気持ちが落ち着く。不安と刺激がうすくなりホッとした気持ちでヨーロッパの街に足を踏み入れる一人旅。これも旅の仕方だ。

アテネには午前0時頃の到着。ブリンディシからパトラス間のフェリーでは、若者ばかりのバックパッカーの喧騒をしり目に三等の大部屋の椅子の下にもぐりこみ十分寝たつもりだった。でも、疲れがたまっていてパトラス、アテネ間も寝ずっぱりだった。そして、アテネは雪の中だった。

アテネ着の停留場が市街のどこらへんなのか、地図がなくてもバスの到着する場所はどこなのかわかるはずなのに思考がはたらかない。寝ぼけまなこのアテネ到着は、低層の建物がまっすぐに伸びた幅広い道路の明るい街灯とともに浮き上がり、空の漆黒との対照が視界にやきついた。

しんしんと降る雪の静けさに任せてしまうことになった。ホテルを探す気がしない。道路際に建設中の家屋が目に入った。何度目かの野宿をすることに決めた。

柵の扉をあけ、コンクリート造りの建物に近づく。すぐに木の作業台を見つけた。台の下で寝るには十分なスペースだ。寝床のガラクタを手で掃き新聞紙を敷き、封筒状のシーツとハーフシュラフに腹巻をしてもぐりこむ。モコモコのダウンジャケットを上半身に巻き付け居心地を確認する。

目を閉じる前に気が付いた。今日は27歳の誕生日だ。

さて、どうするか。よし、日本に帰ろう。帰ったらなんでもやろう。怖いものなしだし、食べるためには何でもやろう。そう、決めてわたしは目を閉じた。

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