2009年7月26日日曜日

青春18キップ的すすめ 3 加茂郡坂祝(さかほぎ)にて







炎症にはきつい酒だった。やはり夜中と明け方に目が覚めた。梅雨明け前の昨日のムッとした湿気を忘れる冷気と青々とした稲の生命力のある匂いを思い出す床の中、夜中に出入りする気配もない田園の農家に一泊。戸締りの鍵はやはり必要がないのだ。

 八畳敷きが奥に延びた玄関の上がり間にのびのびと一人で寝る。四方の間は北にソファーとテレビの憩いの間があり左回りで荷物が雑然とあるが仏間だろう。その隣は夏蒲団が控えめにおいてあり、襖が開けっ放しで風が入り本来涼しく、音が響かない。玄関隣接のばあ様の部屋からはコトと音がしない。縁側は久しく見ない一間はあろう板間が堂々と伸び、千葉・多古の小池のお兄さんの家を思い出した。

 農家は平屋の佇まいだが、かっては蚕棚が二階に広がって、にぎわしくお蚕様のお通りで本家の財政を潤したという。

 7時、虫と鳥の音に誘われ玄関を出る。雲がたなびいている。農機具小屋の軒下に玉ねぎがぶら下がっている。トイレはここに二つ。離れ屋を含めて四、五箇所。自家用車等が計四台の豊かな兼業の暮らしぶりだろうか。藪を刈り込み種をまいた40坪ほどの畑にはスイカやうりがなっている。畑を見守るように小さなストゥッパ(仏塔)を抱えた道祖神らしき姿が鎮座。
 戻りかけて愛嬌のある純粋柴犬がしっぽをふって待っていた。あっち、こっちに犬の糞。鎖につながれても飼い犬らしくないでしょうと鼻を摺り寄せる猟犬・柴犬の普段の勇姿をみる。さて、朝の水田を散歩がてら見に行こう。
・・そうでした。離れ家にはご主人の若井さん一家がいるんです。

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